No.1796

題名:心して食え
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1795の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 コマーシャル・メッセージ (CM)が流れた後、袋とじ動画が一旦終了した。木綿のように。いや、絹か、やっぱ木綿だ。ここは木綿でないとおかしい。そう思っていると別の動画が再生された。

「木綿豆腐。やっぱ絹より木綿よねー。そうそう、木綿でなくちゃ…ねっ…」

若い女の子同士が木綿豆腐を食べている動画だった。二人が食べ終えると、「月の世界から発信する。あらたなニューワールド。豆腐屋いったん、木綿豆腐、おいしいよー」とテロップ。そのテロップを見ると、少しお腹も空いていたことに気づいた。さっきケーキ食べたのに…。Moon人は、そんな僕の様子を見て、

Moon人:「どや君、かつ丼でも食うか?」

と言った。月の世界でかつ丼とは。なんて贅沢な…。

僕:「いいんですか」
Moon人:「そんな遠慮せんでもええで。なんせ取り調べには時間がかかるからのぉ」
僕:「取り調べ…?」
Moon人:「そや、まだ終わっとらんやろ。君は、死体遺棄の罪で問われとるんやで、そのこと忘れんどいて。まっ、駐車違反もあるけどな」
「袋とじの動画は…?」
「まだ、見る? 続き見るんやったら、もっかい課金せなあかんよ。なんせ200年前の動画。動画の形式もMP4とか言われる今や化石に等しいタイプやからな。それ再生するのにどんだけ金がかかると思う。1回10分で100万円や。それとも、もっかい小指の祈りするんか、君は。わいは、別にかまわんけんどな」
「いや、しません、できまへん」
「そーやろ。じゃ、あきらめ。ほら、そこ、かつ丼届いたで」

 テーブルの上には特盛のかつ丼がほかほかと湯気を上げていた。あったかそうだった。おまけに、いい匂いも漂っている。じゅる。これが取り調べの極上特盛かつ丼。
 そういえば、さっきまでテーブル上のケーキで冷蔵機能だったのが、電子レンジ機能にすり変わったのだろうか。妙に周りもあたたかい。それは、かつ丼からの湯気だけではなさそうだった。

僕:「この船には、電子レンジ機能もあるのですか…?」
Moon人:「馬鹿いえ。これ作りたてやで。かつ丼の遠隔宅配なんや。知らんのか、知らんか…。Moon TownにあるJapaneseレストランうまいんや、から特別に取り寄せた逸品や。君、心して食え」

 
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