No.1783

題名:かすかに耳に響いて
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1782の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

真っ黒な宇宙服を着た人:「でもな…」
僕:「でもな…?」

「気がついておらんな、その顔じゃ…」
「えっ、どういうことですか?」
「君が、こぶちゃんを月の土に埋めたこと…、だよ」
「と、言いますと?」
「やっぱ、気づいておらんな。君は大事な点を見落としている。そういうこっちゃ」
「大事な点…?」
「そういうこっちゃ」

 流星にあたって、死んでしまったこぶちゃんを埋めた。こぶちゃんを想って、葬った。それがまずかったのだろうか。

 「君はな。実は、こぶちゃんを埋葬することで、Createを葬った。すなわち、今や何も残っちゃいない。そういうこっちゃ」

 最初は、この真っ黒な宇宙服を着た人が何を言っているのか、それが何を意味しているのか分からなかった。でも、僕は明らかにこぶちゃんを月の土に埋めるべきではなった。そのことは、よく理解できた。

真っ黒な宇宙服を着た人:「まっ、そう心配そうな顔すんなや。むかしむかし、200年前にあったMoon Townでの出来事を君に話そうか」
僕:「はい。お願いします」

 その時、こぶちゃんの「ンゴォォォォォォオオオオオオオオオーーッ!」という鳴き声が、かすかに耳に響いていた。かすかだけども、間違いなくそれはこぶちゃんの鳴き声だった。

僕は、
僕は、

こぶちゃんを、

葬るべきではなかったのか…。

 
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