No.1773

題名:新しい命
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1772の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 父からイロン・ナーシ氏を紹介された当時、よくナーシ氏に言われたことがあった。

ナーシ氏:「ノブヨシ殿の考え方、いつも実に、想像と創造にあふれていますねー。まさにCreate。Createrという名がふさわしい…」

僕:「そうかな。僕はそんな風には感じていないけれども…」

ナーシ氏:「そこがノブヨシ殿のすごいところ。生まれや育ちに理由があるのでしょうか。なんとも言えないくらいに、Moon Town計画への新たな礎に、いっつもわくわくしています」

 そうか…。なにげない僕の一言にも感嘆するナーシ氏に、僕の夢がちゃくちゃくと実現していく、その階段を上っている。それが実感できた。一方でナーシ氏の何気ない一言、生まれや育ち…。そうかもしれない。なんていったって、うちの母は、伊辺留村のシャーマンだったからだ。

 幼いころ、父に母について話を聞いたことがある。それまで全くと言って事業の取引をしていなかった遠くの村に、取引としてふと1年ほど滞在したことがあったらしい。その村にいたのが母だった。
 きっかけは、ある村の女性の夢を頻繁に見るようになった、そういう話から始まった。それが、伊辺留村だということに夢を見た当時は、なかなか気づかなかったらしい。でも、ある時、大雨が降り、市や町の多くが水没する中で、ある村だけが水没を免れ、村の人々や動物、すべてが無事だったという奇異な事件があった。そのニュースがTVに流れ、そこの村の映像が流れる中、とある女性に父はピンときたらしい。あの夢の女性だと。
 ニュースを見た次の日、会社の理事会で父は総幹部を前にこう言った。

父:「本日、私には重要かつのっぴきならない取引が生まれた。私はいますぐその現場に向かわなければならない。しばらくの間、どのぐらいになるかわからないが、君たちに会社を任せたい。よろしく」

 そういって父は会社を後にして、伊辺留村へと向かった。幹部一同はきょとんとしていたらしいが、その1年後に会社に戻ってきた父の手には新しい命、僕が抱かれていた。

父:「我が百智家の三代目、信吉だ。伊辺留村のシャーマンの女性と私の間にできた子。そして、やがて新世代のノアの箱舟を実現する当家若頭だ」

幹部一同:「おーーー」

 
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