No.1762

題名:あなたを
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1761の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 17歳の時、どの会社に行こうか、高校を卒業してどんな会社に行くのか、悩んでいた。それと同時に僕にとってアイドルだったジョン・シンガー・サージェントの絵もよく模写した(図)。今、思えば、その横顔は慶子さんに似ていたのかもしれない。デザイン部に配属されたくて選んだ印刷会社時代。恋人だった高見慶子さん。僕はジェシカに抱かれながら、完全に過去の記憶を思い出していた。
 あの時の…、あの時の…、あの時の…。トラックが僕たちの乗る車に突っ込んできたんだ。

「桔平くん、危ない…」

その声は、慶子さんの。間違いなかった。

(いいよねー。Italy) 今思えば、それも慶子さんの声だった。

 記憶が戻るたびに、ジェシカが傍にいてくれることが、うれしかった。きっと、ジェシカがいなければ、その記憶が戻ったことに僕は耐えられなくなっていたに違いない。

図 ジョン・シンガー・サージェントの絵1)

 ジェシカは何も言わずに嗚咽する僕をぎゅっと背後から抱きしめ、その温もりから(きっぺい、ダイジョウブだよ。ワタシがいるから)、そんな心の声も聞こえていた。
 今日は2021年9月18日。慶子さんとホテルに泊まったあの日、2016年9月18日からちょうど5年経っていた。今日という日に思い出したのも、もしかして理由があったのかもしれない。
 ジェシカに対する愛は、いつだって変わらない。今日も、明日も、明後日も。僕の命ある限りジェシカに真心を尽くす。その誓いは、神に誓ったその誓いは、嘘ではなかった。完全に過去を思い出したとしても…。

あなたを好きなのは、あなたを信じる、その宗教に他ならない。

あなたを信じるのは、そう、そこにいる僕が生み出した宗教に他ならない。

だからこそ、誰もが求めるのだ。その愛という個別化された宗教を…。それが…。きっと人なのだ。

1) https://www.rct.uk/sites/default/files/collection-online/9/d/256330-1330622599.jpg (閲覧2020.7.3)

 
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