No.1655

題名:ごめん。見つけられないや…
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1654の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 一歩一歩着実に下山しながら、その一歩一歩がとてつもなく長い時間のように思えた。まるで、時間がゆっくりと進んでいるようなそんな感じがした。太陽が東から着実に昇ってくる。雪面もその太陽による温度上昇に合わせて、軟らかくなってきている。それが、さらに僕の一歩一歩のあゆみを困難にしていた。
 ただ、夕方までには下山できなくとも、明るいうちにテントから放り出された地点にまで行けば、貝殻の半分が見つかるかもしれない。その思いで、痛みのある重い足をあげつつ、慎重に下った。
 太陽が頭上に近くなり、すでに昼近くになった。普段なら30分ほどで下山できるところを3時間近くかかっていた。その時、ようやく目の前にあの崖が見えた。たぶん、あそこに見える崖がテントから放り出された場所だろう。貝殻の化石が見つかった場所。崖下をのぞくと、Black DiamondなテントFirstlightが、雪の中で埋もれている。足の痛みをこらえながら、一歩一歩あゆみを進め、崖にたどり着くと、そこでもう半分の貝殻の化石を探した。でも、見つからない。

(晴美さん、ごめん。見つけられないや…)

 とりあえず下山して、足を治してから再び探したほうがよいかもしれない。それならば、時間はかからず、次はきっと探し出せる。途中、崖から踏み外しそうになったものの、何とかこらえ、その崖を後にした。
 ふもとにたどり着くと、昨晩に予想したとおり(No.1652)、夕方近くになっていた。足の痛みをこらえながら、ZX-10Rに乗り込んだ。そして、エンジンをかけ、岐路についた。

「ただいま…」

アサリ(妹):「兄ちゃん、遅かったじゃない、遭難したのかと思って、もうちょっとで警察に連絡しようと母さんと相談してたんだよ…。えっ、兄ちゃん、その足、いったい?」

 部屋にあがると、母とコンブチャンも僕の足を見て、母:「カツオ、心配したのよ…、どうしたの、その足」と半ばあきれていた。ただ、コンブチャンが、たった数日見ない間にますます魅力を放っていた。そこに座っている姿は、まるで妖精の様に見えた(図)。

図 プリンセス playing コンブチャン1)

「ちょっと転んでしまって…」

今見てみると、ウェアの右足の膝の部分が破れ、自分でも明らかにその上からでも分かるくらいに、そこが腫れていた。

1) https://tozanabo.com/archives/korean-russian-model-angelina-danilova-is-so-beautiful-like-an-angel-or-a-fairy.html (閲覧2020.3.5)

 
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