No.1654

題名:染められている色
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1653の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 その日、入水管が触れ合った日から(No.1653)、ぼくの貝殻は、分かりやすいくらいにいろいろな色に輝き始めた。黒だけでなく赤にもなり、ぼくの赤面が、まるでハルミさんに同調しているかのように、いろいろな色に染まりだした。

ハルミ:「カツオくん、最近、貝殻の色がいろいろと変わるね。特に、ハルミといる時に」

ぼく:「そうなんだ…。ハルミさんに染められている色、みたいなんだな」

ハルミ:「それって、ハルミイロ?」

ぼく:「ハルミイロ。そうともいう…」

二人ならぬ二貝:「てへへ、いい感じー」

ハルミ:「カツオくん♡」

ぼく:「ハルミさん♡」

 どしゃ…、

 その時、いきなり夢から目覚めた。冷たい雪の塊が体の上にかかり、寒さが身に堪えたかと思うと、雪洞の入口にツエルトでちゃんとカバーしなかったためか、かなりの風雪も中に入り込んでいた。入口のあたりはまだ暗かった。夜明けにはなっていない。東の空を見上げても、太陽は昇り始めていなかった。再びポケットから貝殻の化石を取りだした。もしかして、これはハルミさん?

 ハルミさん? = 晴美さん?

 真実のほどは分からなかった。しかし、そう思うことで、なんとなく現実と夢の世界が繋がっているように思えた。

(なんとしてでも、もう半分、見つけないと…)

 時計を見ると、3時半ごろであった。湯を沸かして、それを飲むと体が温まった。しばらくすれば夜が開ける。幸いなことに山頂にも光が降りてきた(図)。天気もわるくはなさそうだ。この程度の天気なら、この先は読者さまからの
酷評の風雪も少ないはず。まだ、右足に痛みは残っていたものの、身支度をして山を降りることにした。

図 山頂に光1)

(読者さま:おー、完全に、大山とちがうやんか。ここで、おもっきし挑んできたでー)

1) https://www.pinterest.jp/pin/663647695067749190/ (閲覧2020.3.4)

 
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