No.1620

題名:This place is a shelterか…。
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1619の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 なんにもときめかない。何も翻弄もされない。相合傘で、二人で手を繋ぎながらも、なんともなくなった。少なくとも僕の方は…。でも、晴美さんはどうなのだろう。晴美さんの方を見た。見ると同時に、晴美さんも僕を見た。そして、彼女はにっこり笑うと、その後に鳴り石の浜から海の景色に振り返り、こう言った。

「なんだか、ここ、懐かしく感じるんだよねー。カツオくん、どう思うかな? こんな雨の日になってしまったけど。カツオくんのおかげ。ここに来れて、うれしかった…」

 静かに、二人で、しばらくの間、海を眺めた。
 懐かしい…か…、そういえば、僕には見慣れた当たり前の景色だったため、今までそんな風に感じたことが一度もなかった。晴美さんに言われて、改めて眺めてみると、そうかもしれない。そんな景色だった。雨も影響しているのかもしれないが、海からの波が少しもの悲しいようで、それでいて、この場所は常に僕らを守ってくれている。This place is a shelterか…。これ2パターンあるよなー。そうして、ここ最近、連投しているÓlafur Arnaldsな気分に、僕は浸った。その後、10~20分ほど経ったろうか、

「そろそろ行こう。カツオくん。なんか安心できた」と晴美さんは告げた。

「分かったよ」

 二人は軽トラに戻った。乗車する前、晴美さんから手を離すと、再び晴美さんからのあの香りがして、急にこころが高鳴った。でも、晴美さんが車内に入り、僕も車に乗り込むと、相変わらずあの漂っている魚の匂いによって、またもやその香りがかき消された。不思議な現象だった。

「じゃぁ、出発するね。ところで、晴美さん。宍道湖のどこに向かえばいいかな?」

「ここ、日本シジミ研究所に行ってもらえるかな」

図 日本シジミ研究所1)

 晴美さんはスマホで示した。ちょうど大橋川から宍道湖へと移り変わる島根県松江市千鳥町36番地にその施設があった。「晴美さん。オッケー」。

1) https://yamatoshijimi.com/ (閲覧2020.2.10)

 
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