No.1603

題名:優雅な白鳥、もがくバタ足
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1602の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 晴美:「ここ座ってもいい?」

琉花:「うん、いいよ」

そうして晴美さんは僕らのテーブルに同席した。そして、コーヒーを注文し、「よくここに来るの?」と僕に質問した。

「いいや、初めてなんだ。僕は普段は缶コーヒーで済ましているけど、琉花がしじみの選別も手伝ってくれたので、そのお礼もあって…」

 なんだか晴美さんと話をすると、妙に緊張する。どうしても晴美さんからの香りに翻弄されるのだ。今日はいい天気。東郷湖の湖面も穏やか。ふと窓の外に目をやると、優雅に白鳥も泳いでいる(図)。でも、僕のこころは、荒れた天気のように、白鳥の足元のようにバタバタともがくバタ足のごとく乱れていた。

図 窓からの景色1)

琉花:「カツオくん。どうしたの? ちょっと顔が蒼いけれども…」

晴美:「きっと、昨日、飲みすぎたせいなんじゃない…、ねっ、カツオくん♡」

「そっ、そうかもしれない…」

 晴美さんのそのセリフの語尾には、なにか暗示めいた記号が隠されていたように思えた。いや暗示ではない。明示だ。チョコレートは明治に限る。そんなハートマークな気がした。

「そっ、そうだ。この店、ケーキもあるから、それも頼もうか…」

琉花、晴美:「ありがとう」

晴美:「カツオくんって、やさしいなぁ…♡、いいな~琉花」

1) http://hakusen-store.com/ (閲覧2020.2.3)

 
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