No.1602

題名:ソーカモシレナーイ
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1601の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 店の中でコーヒーを飲んでいると、その丁寧なまでの香りに缶コーヒーとは明らかに違うものがあった。たぶん、その香りの中には、琉花と過ごす時間もエッセンスとして含まれているからでもあろう。幸せなひとときであった。その時、何気なく琉花はバックから一枚の写真を取り出した(図)。

「カツオくん。この前の旅行の時に撮った写真だよ。ほらっ、男前にとれてるでしょ。へへっ」

 そう言えば、琉花はスマホよりもカメラで写真を撮ることが多かった。赤いバッチのついたカメラ。なんというメーカーかは僕には分からなかった。でも、それは、デジタルではなく、フィルムカメラだという。なんでも、琉花の父さんはフォトグラファーらしい2)。だから、詳しいのか…。

「うまく撮れてる。写真のことはよく分からないけど、プロみたいだね」

図 一枚の写真1)

「そうでしょ。実は、以前、写真展も開いたことがあるんだー」

「へー、すごい腕前だね」

(時おり人はこういう。「カツオくん、俳優のManny Jacintoに似てる、似てない、似とるねー」、と。そうかもしれない。ソーカモシレナーイ)

 その時、店に入ってきた人がいた。扉は僕の背後にあったが、後ろを振り返らなくてもそれが誰だか分かった。あの香りがしたからだ…。

「あれっ、琉花じゃない。それに、カツオくんも」

 そう、振り返るとそこに立っていたのは、まぎれもなく晴美さんだった。

1) https://www.pinterest.jp/pin/737745982694995945/ (閲覧2020.2.2)
2) https://cyanmag.jp/523 (閲覧2020.2.2)

 
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