No.1593

題名:その成分の成果
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1592の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 晴美さんと面と向かっていると(図)、学のない僕が何を話せばよいのか分からなく、緊張して、飲み物がいつも以上に進んでしまう。それを察知したのか、晴美さんは、

「カツオくんって、飲めるのね。さすが漁師。びっくりするぐらいペースが速いね」

と言われた。いやー、速いのは面と向かって恥ずかしいだけ。同じアカデミックでも、琉花には随分と慣れた。漁港で多くの調査の話だけでなく、身のうえ話も多くするようになって、打ち解けていたからだ。とはいえ、琉花の友達とはいえ、やはりほぼ初対面に近い晴美さんとのおしゃべりなんて、なかなか難しかった。早く琉花が店に到着しないかなーと思っていた矢先、

図 晴美さん1)

「あっ、そういえば、この前、いっしょに旅行に行ったと琉花から聞いたけど、どこに行ったの?」

「隣の県の出雲大社。この辺でパワースポットある?って聞かれたから、確か島根県の出雲大社って、なんとかパワーなんとかだったなーと思って、出雲?って聞くと、うん、そこそこ。連れてってもらっていい?っていうから、いいよって。次の日にZX-10R(No.1592)で行った」

「へー、いいじゃん」

「でも、その日の帰りに相棒の調子が悪くなっちゃって…」

「相棒って琉花?」 「いや、バイク…」  「バイクね…。そいで…そっからどうしたの?」

「琉花と泊まった…」

「ふーん…。そうだったのかぁ…」

 普段はあまりしゃべらない、ぶっきらぼうな僕だ。でも、やはり20歳以上の飲み物のせいか、あるいはその成分の成果で、だいぶ饒舌になっていた。

1) https://www.pinterest.jp/pin/737745982694875761/ (閲覧2020.1.30)

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ