No.1578

題名:しま模様のシャツ
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1577の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 思ったよりも彼女自身はすんなりと僕に身を預けた。彼女から磯の香りが漂う中(No.1577)、初対面なのにまったくの警戒感なしに身を預けるなんて、やはり海の中を漂流したことで、疲れているのだろう。病院に連れていった方がいいのかもしれない。

「もし疲れているのなら、病院で診てもらったほうがいいと思うけど…。海の中を漂流していただなんて、普通じゃないし。今から行く?」

「今、とりあえず、服が着たいの」

 そうだった。波打ち際で倒れた時のままの彼女は水着しか身につけていない(No.1575)。季節的には暖かいとはゆえ、今は、少しでも彼女の身体を温めることが必要かもしれなかった。幸いにして、僕の家は海岸のすぐそばにある。彼女の背格好も妹に近い。妹に事情を話せば、服をとりあえず貸してもらえるかもしれない。

「じゃぁ、僕の家はすぐそこだけど、今、歩ける?」

「うん」

 二人で歩いて家に向かった。家に着くと、玄関先に妹がいた。

「あっ、兄ちゃん。もしかして彼女? しかも、外人さんで水着じゃん。ナンパでもしたの?」

「アサリ。おまえの服貸してくれないか。実は、この人、コンブチャンって呼んでいるんだけれども、今朝、海岸で漂流していたみたいなんだ」

「えっ…」

 そうして、妹に事情を説明した。妹はすぐに部屋に戻り、しま模様のシャツを持ってきて、彼女に着せた。

「わたしとサイズ、ぴったりだね」(図)

図 とりあえずコンブチャン1)

1) https://www.tumbral.com/tag/quiensoscolo (閲覧2020.1.17)

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ