No.1540

題名:人の気持ちを癒す愛のスパイス
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1539の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 看護師さんが店に入ると、タンちゃんを見て睨んでいるような感じがした。(ふん、なにさ、この人。ちょっと仕事ができるからって、えらそうに。ガエールくんは私のものだからね)っていう看護師さんのこころの声が頭の中で響いた。(えっ、ラーメン食べに来たんじゃないの…)、との思いはあれども、ラーメンを提供する際には、その愛の結晶に妥協はゆるせない。おやっさんはいつもながらの手つきで淡々とラーメンを作り、タンちゃんは看護師さんにラーメンを差し出した。

「猫ラーメンスペシャル、どうぞ」

差し出した時、看護師さんはまたもタンちゃんを睨み返し、人の気持ちは分からないものだと思った。でも、ラーメンを食べた途端に、彼女の顔がほころんだ。(おいし~)。そう、おやっさんのラーメンには、人の気持ちを癒す愛のスパイスが混入されているのだ。だから、食べれば分かる。その癒し効果が。

「ガエールくん。美味しかったよ。また来るね♡」

 そうして、ハートマークであふれかえる厨房は、12時には忙しさを極め、今日はいつもより早く、2時半にはすべての仕込みが終了とともに一日で出すラーメンの数量もはけ、閉店した。

「おやっさん。今日の売れ行きはすごかったですねー」

おやっさん:「昨日の臨時閉店で、今日はいつもよりも人の回転がはやかったかもしれへんな」

「すいません」

おやっさん:「いいってことよ。でも、やっぱり数量限定すると、悲しいもんやなー。もうちょっとラーメンの数量を増やしてもええかもしれへんな」といって、あの悲しい目をした。

 その夜、再び妙な夢を見た。真っ赤な女性が4人も路上に倒れている。そんな夢だった。

図 路上に倒れる1)

1) https://www.pinterest.jp/pin/625789310701351403/ (閲覧2019.12.30)

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ