題名:嫁さんへの愛
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.1521の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
SNS、いや、インスタグラムの影響であろうか。ここしばらく、猫ラーメンにはひっきりなしに女子のお客さんが増えていた。ここまでお客が多くなる前の、常連客も時折見かけるも、ここ最近の女子の客の多さに、常連の客も足が遠のいていたような気もする。なんで、こんなに女子が増えたのであろうか。店に入った途端、ラーメンを食べるよりも、スマホで写真を撮る人があまりにも多すぎた。
うちは、あくまでも、ラーメン一筋。サイドメニューもほとんどない。いや、ほとんどというよりも、まったくない。そうして、僕の本音で問えば、おやっさんのラーメンの味が分からないような客には、この猫ラーメンには来てほしくない。そう思ってもいた。でも、おやっさんは、客層の変化にも関わらず、ラーメン作りにはブレがなかった。もしかして、おやっさんの嫁に対する愛が、そのブレのなさの原因なのかもしれない。おやっさんにとっては、ラーメン作りは、嫁さんへの愛なのかしれない。そう、思えた日々が続いた。
「今日の売り上げは、すごかったですね」
おやっさん:「まあね」
「あんまりうれしくはないのですか?」
おやっさん:「う~ん。まあね」
おやっさんとしても、売り上げよりも、なんとなく別の目的が明らかに感じられた。
「ガエールくん。やっぱ、一番大好きな人におっちゃんのラーメンを食べてもらえるのが、うれしいかもしれへん。それは、やっぱ嫁。嫁に逢いたいなー(図)。どこにおるやろんか。永遠に帰ってこうへんのやろか…」
「こんだけブレのないラーメン作りなら、きっと、この店にいずれは戻ってきてくれると思いますよ」
図 佐久間由衣1)
「そうかの~。そうやったらうれしなー」
そんな会話の中、スープやその他もろもろが早くもなくなり、店を仕舞おうとしたその時であった。
1) https://mdpr.jp/news/detail/1708432 (閲覧2019.12.21)