No.1517

題名:おやっさんの頑なまでの極道な生き方について
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1516の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 何日か店の前に立った。でも、なかなか客足は増えない。いつも来るのは常連さんだけであった。常連さんと会話しながら、人の入りが少なくとも、おやっさんのラーメン作りにそそぐ極み道には、並大抵の意気込みではなかった。それは、おやっさんの頑なまでの極道な生き方なのかもしれない。
 僕は、連日店に立ちつつも、新たな客を獲得できないことに、ふがいなさを感じていた。でも、それでも、時折、猫ラーメンの店の前に立つ外人が珍しいのであろうか。特に、女子が珍しそうに猫ラーメンの店をスマホで写真を撮ることが多くなった。そして、ある時、女子に声をかけられた。

「あのー、猫ラーメンって、ここですよね? もしかして、ガエールくん?」

「そうだけど(どうして僕の名前を知っているのだろうか?)」

「きゃー、かっこいいー」

 不思議そうに見ていると、その女子は

「ほらっ、ここ見て。知らないの、インスタグラム」

そうしてみると、#ガエール、#猫ラーメンのハッシュタグつきで、「イケメン従業員のいる、いけるラーメンズ、猫ラーメン。(≧∇≦)キャー」

と書かれ、僕の写真がアップされていた(図)。

図 アップされていた1)

「今、お店、空いてる?」

「どーぞどーぞ」

 その日を境に、なぜか猫ラーメンに女子の客がどんどんと増えてきた。でも、粋がっていたあのころに比べて、執事になる運命も受け入れ、僕の眼力は落ちていたはず。なのに、連日、どんどんと女子が増え始め、ラーメン女子の時代を到来か?と感じていた。それでも、客が増えても、おやっさんは職人然として、もくもくとラーメンを作っていた。実にかっこいい、おやっさんだった。

1) https://www.pinterest.ch/pin/372954412873106335/

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ