No.1197

題名:黒猫の導き
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1196の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 ひたひたと駆け寄り、そうしてささやく。「次は、あなたの番よ」と。そうして、いつも罠に嵌るのだ。そこに踏み込んではいけないと分かりつつも、罠に嵌るのだ。それが運命なら、いっそこのまま、運ばれてしまえばいい。そこに、自らの命の、宅急便としての黒猫が潜んでいるから。
「ピンポーン。こんにちは、宅急便です。」
ようやく荷物が届いた。待ちに待った、愛という荷物。
そうしてくるくると髪を回しながら、彼女は問いかける(図)。
「じゃぁね。どっちがいい?」。
すると、こう答えてしまうのだ。
「もちろん、こっち。」
「よくわかっているわね。」
そうして彼女の笑みに頷いてしまう。
 結局、いつも軽い荷物ではなく、重い荷物を選ぶ。自分ではどうにもこうにも動かせない重い荷物。でも、いつも選んでしまうその荷物。
 でも、あれほど待ち望んだ宅急便なのに、また、黒猫に踊らされてる。しまいには、黒猫にも愛が湧く。
 でも、あの時のわくわくした想いは、最後には重い荷物となって、自分の背中にのしかかる。

図 黒猫の導き1)

「わたしね。いつもこう思うの。やっぱり、あなたじゃなきゃ、だめだって。それって、変でしょ。でも、いつも結局は、そうなるの。これって、黒猫の導きかしら。」
「そうかもしれないね。僕も時々そう思うよ。君じゃなきゃ、だめだって。」
「わたしたち、相性がいいのね。」
「かもね。」
 たわいもない会話をしながら、いつの間にか黒猫の導きによって、palenceのsub cinere1)のメロディーが流れ出す。そこには、むろん歌詞はない。インストなのだ。そのインストに含まれる歌詞は、ここでのたわいもない会話から類推するしかない。
 口をわずかに開けながら、彼女はささやいた。
「palenceって、formerlyは、HVRXLDなの。」
「へー、そうなんだ。知らなかった。」
 そうして、少し紫がかった彼女の髪が、ふわりと僕の顔に纏わりついて。やがて、僕たちは生まれ変わった姿のままで(No.1196)、黒猫の導き通りに唇を重ねた。

1) https://www.pinterest.jp/pin/796644621564209057/ (閲覧2019.5.10)
2) https://www.youtube.com/watch?v=cp5-XdeMok8 (閲覧2019.5.10)

 
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