No.11

題名:梅干しの偉大さ
報告者:トシ

 梅干しは古くからある保存食のひとつで、その起源をたどれば平安時代とされる。平安時代中期の「医心方」に梅干と記され、当時は薬として利用されていた1-2)。現在では、スーパーの漬物等と同じ棚に数多くの梅干しが陳列され、その種類はかつお節で味付けたもの、はちみつで味付けたものと様々である。しかしながら、現在のスーパーで市販されている梅干しの多くは、添加物が混入され、保存食としての価値がとても低い。場合によっては、冷蔵庫で保管しないとすぐにカビが生える等の問題もあり、梅干し本来の大切な面がなくなった。
 真の梅干しは、この古くから薬として珍重されていたタイプのものになる。すなわち、梅と塩以外の原材料はなく、「しょっぱい」「すっぱい」梅干しである。近年の減塩等の様々な加工されたものは、単なる梅干しもどきで、保存もできない。梅と塩以外の原材料を使っていない梅干しは、何年たっても腐らない。特に20%以上の高濃度の塩で漬けてある梅干しは、435年前のものでも食べることができる3)。梅干しが「しょっぱい」はこの塩のおかげである。この塩によって、乳酸菌などの微生物の働きが活発になり、梅が発酵した状態になる。さらに梅干しが「すっぱい」のは、梅にあるクエン酸のおかげである。その含有量はレモンの10倍ほどもあり、クエン酸には疲労回復、腐食効果がある4)。この「しょっぱい」と「すっぱい」のダブル効果によって、梅は梅干しとなって保存食に生まれ変わる。これが真の偉大な梅干しの姿である。
 ハードな仕事・スポーツをした後などは、この真の梅干しを食べると非常に体に良い効果を与える。その理由は、江戸時代などの歴史を振り返ると分かる。江戸時代では、車などの移動手段もなく、移動は歩くことが当たり前であった。お偉い人はかごに入っていたかもしれないが、一般庶民は足で常に移動しなければいけなかったであろう。例えば、そのときに、隣町に行くだけでも峠越えなどしないといけなかったに違いない。現在でいえば、一種の軽登山である。その峠越えをした後、頂上の茶屋などで、「しょっぱい」「すっぱい」梅干しが入ったおにぎりを食べられるということは、相当の御馳走だったと思われる。当時は、米自体も貴重だったが、塩自体も貴重だったため、全身から出た汗と疲れを吹き飛ばすような梅干し入りおにぎりの効果の実感たるや、絶大だったと思われる。また、戦国時代でも、梅干しは戦場に必ず持っておく常備食として筆頭リストにあがっている5)。このことから、古くからある方法にて製造された、「しょっぱい」「すっぱい」梅干しは、薬でもあり、食糧にもなりうる。ご飯との相性もバツグンである。

SDIM1911-1

1) http://iroha-japan.net/iroha/B02_food/08_umeboshi.html (閲覧2015.8.13)
2) http://www.umeume.net/umechiku/chiku1.html (閲覧2015.8.13)
3) http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20110707-00020708-r25 (閲覧2015.8.13)
4) http://blog.livedoor.jp/kondateya/blog-entry-7.html (閲覧2015.8.13)
5) http://www.bushidoart.jp/ohta/2012/10/31/戦国時代の陣中食(梅干し)/ (閲覧2015.8.13)

 
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