No.1018

題名:“リトル”・マーメイドから“ビック”・マーメイドへいざない
報告者:エコノ

 本報告書は、基本的にNo.1017の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 ハンス・クリスチャン・アンデルセンによって記述された童話「人魚姫」は、アンデルセンの童話作家としての大きな一歩となったことが知られている。文献1)にもあるように、「人魚姫」の前に刊行された2冊の童話集は、「こういうものはつまらないものだから、もう書かないほうがいい」と忠告する人々さえいた評価に終わってしまい、そのことでアンデルセンは非常に落胆した。そして、1年ほどは童話を書かない日々を送った。もしそこで、終わっていたら今のアンデルセンの童話はこの世に存在しなかったことになる。しかしながら、その後、アンデルセンは、いくら押さえようとしても押さえられないほど心の底から湧きあがった物語が、「人魚姫」によって導かれ1)、それによってアンデルセンは童話作家としての地位を築くことができた。物語の主人公は、“リトル”であっても、アンデルセンにとっては“ビック”・マーメイドである。
 一方、ディズニーの映画「リトル・マーメイド」にも同じような“ビック”な話題が、“リトル”・マーメイドによってもたらされている。ウォルト・ディズニーにとって革新的となった映画は、世界初のカラー長編アニメーション2)の第一作となる1937年の映画「白雪姫 (白雪姫と7人のこびと)」であることに異論はないが、1966年にウォルト・ディズニー亡き後、ディズニー作品は一度低迷した。それが1987年の「リトル・マーメイド」によって復活し、その後に続く、次世代のディズニーの礎ともなった作品でもある3)。ちなみに、この後に10年にわたって続く期間を“ディズニー・ルネッサンス”とも呼ばれる3)。さらには、この「白雪姫」と「リトル・マーメイド」の間には、図のような社会変化も起こる。図は働く女性の推移であるが、これを見て分かるように、「白雪姫」と「リトル・マーメイド」の間に

図 働く女性の推移4)

はウーマン・リブ運動が、その期間に存在する。すなわち、女性解放運動からの男女平等社会の推進、そして女性の社会進出がこの間にもたらされる。それに伴い、女性が求める理想像も変化することとなる。詳しくは文献 3), 4)を参照していただきたいが、受動的であったディズニー・プリンセス(ディズニー映画におけるプリンセスの総称とする呼び名として)が能動的になり、自由と自立を求めて自ら旅立つ女性へと変貌する。
 先の報告書のNo.1017でのLittleな問いが、Bigな回答へとなり、それがこうして報告書として“ビック”・マーメイドによっていざなわれたことにも繋がると信じたい。

1) http://www.heisei-shin.com/writings_box/fantasy_page/fantasy-01.html (閲覧2018.12.20)
2) https://www.cinematoday.jp/page/A0004076 (閲覧2018.12.20)
3) https://www.cinematoday.jp/page/A0004086 (閲覧2018.12.20)
4) http://www.kokagakuen.ac.jp/schoollife/imgs/paper/2016/soturon2016-3.pdf (閲覧2018.12.20)
5) 上瀬由美子, 他: ディズニープリンセス映画にみるジェンダー表現の変容 –プリンセス作動性に注目した量的分析-. 立正大学心理学研究年報 7: 13-23, 2016.

 
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