題名:サルデーニャ島の考古遺跡ヌラーゲ、ヌラーゲの内部形状と建造工法
報告者:トシ
本報告書は、基本的にNo.750の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
イタリアのサルデーニャ島には先史時代の石組建造物であるヌラーゲがあることは、No.749、No.750でも報告した。ここでは、さらにそのヌラーゲの特徴的な内部形状について考えるとともに、その建造工法について調査したい。
サルデーニャ島にあるヌラーゲの一つであるサントゥ・アンティネ(Santu Antine)は図1の写真が示すように、中央塔の上部が残されているためにその形状が把握しやすく、内部からもその様相が見てとれる。この内部形状を幾何学的に表すと、図2左のようになる。一点鎖線が内部の半分側となる。そして、下部から積み上げたブロックを次第に上部に行くにつれて持ち送り、そして最上部を閉じる。そのバランスについてはNo.750で示した通りであるが、単純に積み上げるだけではいくらバランスが良くても最上部は不安定となる。そこで図2右のように
図1 サントゥ・アンティネの写真1)
後ろ側もブロックを満たす(backfill)ことによって内側を安定させる構造工法を用いている。
図2 ヌラーゲの内部構造と断面2)を反転, 3)
ヌラーゲの内部形状から、図2左のように、内部の弧の形状(一点鎖線)はフロアの半径y、垂直の高さをxとすれば、数学的にy=cxdのように関数で表現することができる4)。そのため、この関数の指数dでヌラーゲの内部形状の特徴をクラス化もでき、構造的な安定性も分析できる4)。
1) http://www.sardegnamagica.it/it/sardegna/escursioni/alghero-escursione-nuraghe-santu-antine (閲覧2018.3.14)
2) Cappai, SN: A hypothesis on a building technique to determine the shape of the nuragic tholoi. First International Congress on Construction History, 20-24.01.2003.
3) Roberti, G. M. : Discrete element analysis on the Sardinian “Nuraghe”, In: P.B. Lourenço, P. Roca (eds.), Historical Constructions.Guimarães, 7-9 November, University of Minho, Portugal, pp.719-727, 2001.
4) Cavanagh, WG, et al.: An investigation into the construction of Sardinian Nuraghi. Papers ofthe British School at Rome 55: 1474, 1987.