題名:人間模様を計算する(できる)コンピューターの開発
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.464の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
先の報告書の締めくくりとして「人間模様は現代でも計算できない」とした。しかしながら、ここではあえて人間模様を計算する(できる)コンピューターの開発を考案したい。
人間社会において、人と人との関係なしでは暮らせない。そのため、この先の未来が読めなくとも、人と人との関係で未来が創られているのは誰もが理解できる。その人と人との関係を図示すると、図のようになるであろう。ある人物が時の流れ上のある人に対して何かの影響を与えたとする。すると、ある人物の状態が変化する。影響を受信した側もその影響から何かしらが生じる。すると、その何かしらが、時の流れに応じて進み、さらにある人物の状態を時の流れに準じて変化させる。このような関係性からも類推できるが、これはまさしくNo.464の図で示したチューリング・マシンの人間模様タイプに他ならない。言い換えると、No.464と同じ言い回しなら、人間本体はある状態を持っていて、時の流れが動きつつ、人への影響を世渡
図 人間模様チューリング・マシン1)を改図
り的に行って、ある状態の読み書き(0 or 1)を時の流れにし、ある状態が停止するまで、これを繰り返すとなる。ただし、時の流れに読み書き込まれるのは0 or 1ではなく、人間生活の何かしら、例えば言動であったり、行為であったり、好意であったりするのかもしれない。このようにして見ると時の流れに応じて影響を受信した側の何かしらが、ある人物からの高評価として得られていれば、人間模様は円滑に進行する。逆もまたしかりである。ただし、である。人間の場合は、単純な問題に置き換えられない。チューリング・マシンとて、計算できる事象に対しては計算できるが、計算できない事象に対しては計算できない。そこには、ファジーな答えか、ある条件だけを満たすような答えしか残らない。これが、全て完全に解くことができるならば、人間模様を計算する(できる)コンピューターは実現できるかもしれない。一例として次の様な場面を考えてみる。
とある高級温泉ホテルにある男性が宿泊に来た。そのホテルの温泉は極上のため、宿泊すると5万円はかかる。どうしても宿泊したい男性は大枚をはたいて無理に宿泊する。むろん極上温泉のため、満足はできる。しかしながら、その男性の目的は温泉だけではなく、大枚をはたいたこともあって酒池肉林におぼれたい。そこで、夢想する。この温泉に極上の女性が入ってこないかと。普通はありえない。しかしながら、その夢想したとたん、温泉の扉の向こうから、「入ってもいいかしら」と女性の声がする。「どうぞ」と答えると、目の前にその男性の理想とする女性が、むろん温泉に入るつもりの格好でそこにいる。これもありえない。しかしながら、人間模様を計算する(できる)コンピューターならこれが可能となる。それは、その男性の心理のある状態の変化を察するが如く、みごとに影響を受信した側から、何かしら(夢想した魂胆)が読み書きされたからである。このようにして、ある人物の状態を変化させるべく、何かしらをうまく提供されたのであれば、そこはこのホテルがボロホテルであっても問題ない。男性はすっかり目の前の現象を信じている。このような夢想した魂胆を容易く読み書きするコンピューター、それはもしかすると究極の人工知能が担うのかもしれない。
1) 高岡詠子: チューリング計算理論入門. 講談社. 2015.