No.340

題名:ズワイガニのハサミの破壊力
報告者:ちょろりん

 カニは甲殻類の一種であり、全身に硬い殻を持つとともに、前の脚がハサミのように変形し、それで物をつかむことができる。特に、全身が大きなカニになると、そのハサミの部分も特大となり、身がぎっしりと詰っている。そのような特大のカニの爪のフライは、これまたとない逸品となる。さらに、カニの中でも有名なズワイガニは、先頃に日本海沖で解禁となり、1匹37万円の高値もついたカニもあることが話題となった1)。文献1)の題目としても記されているが、まさにカニは日本海の冬の味覚でもあろう。
 そのカニであるが、爪(ハサミ)に関して、とても興味深い研究が、名古屋大学の藤原慎一博士によってなされた2), 3)。カニのハサミの形と機能の関係に関する研究である。それによると、貝殻を挟み割る用途で用いられるハサミは力強く、かつ脱臼しにくい設計になっており、一方、泥をすくって食べるために用いられるハサミは挟む力が弱く、かつ脱臼しやすい設計になっているとのことである2), 3)。さらに、ハサミの強さと爪の長さや付け根部分の厚みを調べたところ、長さに対して厚みの比率が高いほど、挟む力が強いとの結果も得られた4)。それでは、ズワイガニのハサミはどうかと言えば、そのズワイガニを全身図に示す。見た目通りで爪は長さに対して厚みの比率が高そうである。餌に関しても調査すると、ズワイガニは一般的に甲殻類、魚類、イカ類、多毛類、貝類、棘皮動物などを食べているようである6)。さらに、藤原博士が提唱するハサミのはさむ効率の指標とハサミの壊れやすさの指標のグラフ関係で調べると2), 3)、ズワイガニのハサミは、強く挟めて、かつ、壊れにくいの上位に占めている可能性が高いことが推測された。すなわち、ズワイガニのハサミの破壊力はかなりあると言えよう。しかしながら、この破壊力は何も力だけの単純な問題ではない。

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図 ズワイガニの全身図5)

ここに示したロシアのズワイカニの爪 (ハサミ)は、その大きさから、図のズワイガニよりも全身がかなり特大なズワイガニであったであろうことが予測されるが、そのカニの爪のフライを食べると、間違いなく、

うますぎて、こころも、はかいしゃれるぅーーーー。

1) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161106/k10010757441000.html (閲覧2016.11.8)
2) Fujiwara, S-I. & Kawai H.: Crabs grab strongly depending on mechanical advantages of pinching and disarticulation of chela. Journal of Morphology 277:1259-1272. 2016.
3) http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20160712_num.pdf (閲覧2016.11.8)
4) http://mainichi.jp/articles/20160818/k00/00m/040/070000c (閲覧2016.11.8)
5) http://kani.shiawase-life.net/archives/cat160/post_7/ (閲覧2016.11.8)
6) http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/zukan/zuwaigani/ (閲覧2016.11.8)

 
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