題名:今日の音楽は、「The Maríasの曲「All I Really Want Is You」の背徳さについて」
報告者:ダレナン
The Maríasの「All I Really Want Is You」は、その音の美しさと相まって、静かに燃えるような背徳感が漂う一曲です。この背徳さは、以下のいくつかの要素によって醸成されています。
1. 囁くようなヴォーカルと夢幻的なサウンド
María Zardoyaの柔らかく囁くような歌声は、まるで耳元で秘密を打ち明けるかのような親密さを持っています。この親密さは、本来言ってはいけないこと・求めてはいけないことを告白しているような空気を作り出します。
加えて、サイケデリックでドリーミーなバッキングは、現実感を揺るがすような浮遊感があり、まるで禁断の夢の中に誘われるかのような感覚を与えます。
2. 歌詞に滲む”欲望”のむき出しさ
タイトルが示すとおり、「All I Really Want Is You(私が本当に欲しいのはあなただけ)」という直球のフレーズには、理性よりも欲望を優先する姿勢が見え隠れします。
この「欲しい」という言葉の裏には、相手が既に誰かのものであるのか、あるいは自分がその関係を壊してしまうことを知りながらも止められない、という罪の意識が透けて見えるとも解釈できます。
3. コンテキストを想像させる余白
The Maríasの歌詞は多くを語らず、抽象的なまま終わることが多いですが、それがかえってリスナーに「この恋は禁断のものかもしれない」というストーリーを自由に想像させる余地を与えています。
これは映画的な演出とも言え、まるでモノクロームのフィルムの中で、ひそやかに燃える恋が描かれているようです。
4. 背徳=快楽の反転
この曲に漂う背徳感は、「してはいけないことをしてしまうときの快楽」に近いものです。背徳=悪ではなく、むしろ感情の真実に従うことの危うさと甘美さがテーマになっているのです。
総括
「All I Really Want Is You」は、禁じられた恋・隠された欲望・抑えきれない本音といった人間の深層心理に静かに触れてくる楽曲です。背徳という言葉がこれほど美しく響く楽曲は、そう多くありません。