No.2923

題名:今日のお題は、「夕日の誓い」
報告者:ダレナン

(No.2922の続き)
覚えているかい?
夕日が沈むあの海で、僕たちは永遠の愛を誓い合った。

潮の香りが、少し湿った風に乗って僕たちを包み、
波打ち際では、君が裸足で跳ねるたび、
白い飛沫が宙に踊った。

君は笑って、振り返った。
その髪に、光の赤が溶け込み、
君の瞳には、燃えるような空と、揺れる僕の姿が映っていた。

僕はただ、見惚れていた。
波間にたわむれる小さな魚のように、
君は無邪気で、自由で、
それでいて、誰よりもこの世界に確かに存在していた。

「ねえ、ここで約束しよう」
君がそう言った時、
僕たちの影は、波に消され、また生まれて、
永遠と刹那が交差する場所にいた。

指切りも、指輪もない、ただの約束。
けれど、あの夕陽が、あの海が、
僕たちの誓いをすべて知っている。

たとえ時が流れて、
互いの名前すら忘れる日が来ても、
あの海に立てば、きっと思い出す。

君の笑顔と、僕の心の震えと、
そして、燃える夕陽に、誓ったあの約束を。

 
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