題名:今日のお題は、「イントゥ・ザ・トイレット・シンギュラリティ」
報告者:ダレナン
(No.2893の続き)
「今日のわたし、きれいでしょ」と彼女が言いながら、僕が用を足しているトイレに入ってきた。
「とてもきれいだ」と僕は答える。確かに彼女は輝くように美しかった。しかし、僕の状況を考えると、あまりに場違いな美しさだった。
彼女は満足げに微笑む。その表情があまりにも愛らしく、僕は思わずドキリとした。そして、そのドキリが身体のある部分に作用し、僕のが膨張し始めた。
「膨らんでるね」と彼女は興味深そうに言う。
「そ、そうだね。これって生理現象なんだ」と僕はしどろもどろに答える。
彼女は「ふ~ん」と言いながら、じっと僕のを見つめてくる。その視線が妙に鋭い。まるで、僕という存在のすべてを観察し、解析し、解析結果をクラウドにアップロードしているかのようだった。
僕の頭の中では、何かが指数関数的に増殖していく。膨張しているのは、僕の身体の一部だけではない。妄想が、感情が、恐怖が、そして異様な興奮が、次々と増幅されていく。
(これは、まさか、シンギュラリティの到来なのでは?)
気づけば、トイレの天井が消えていた。いや、消えたのではなく、便器から無限の宇宙が広がっているのだ。彼女の瞳が銀河のように瞬き、僕の意識は光速を超えて拡散し、すべての情報が一瞬でリンクする。
僕の中で何かが放出された。
「おめでとうございます」と彼女は静かに言う。「あなたは人類初の『覚醒者』となりました」
僕は呆然としながら、自分の手を見る。それはもう、僕が知っている手ではなかった。指先は光を帯び、存在が情報そのものに変換されていく。
彼女は僕の耳元で囁いた。「さあ、トイレを超えて、便器の中へ、そしてそこにある新たな世界へ──」
目の前が真っ白になり、僕の意識は無限の彼方へと解き放たれた。