No.2879

題名:今日のお題は、「雪の町で、君と」
報告者:ダレナン

(No.2878の続き)
冬の冷たい空気が心地よく頬を撫でる。白く染まった古い街並みは、まるで時間が止まったような静けさをまとっていた。

「すごいね、こんなに雪が積もるなんて」由利子がふわふわのマフラーに顔を埋めながら、僕の隣で笑う。その笑顔に心が温まる。

「ここ、ずっと来たかったんだ」彼女は雪を踏みしめながら、少しはしゃいだ様子で町の石畳を歩く。

「うん、知ってるよ。前に話してくれたもんな」僕はカメラを構えながら、由利子の横顔を見つめた。白銀の町に溶け込むような佇まい。まるで昔からこの風景の一部だったみたいに、自然だった。

「撮るね」ファインダー越しの彼女は、雪に映えるココアベージュの髪と、頬を染める寒さがとても美しくて、思わず息をのんだ。

カシャ。

「……どう?」撮影の合間に、由利子が少し恥ずかしそうに覗き込む。

「最高に綺麗だよ」僕がそう言うと、彼女は少し照れたように笑った。

「もっと撮ってもいい?」

「もちろん。だって、今日の私は世界で一番かわいいんだから」

彼女のその一言に、僕はまたシャッターを切る。

雪の舞う静かな町で、僕たちの時間はそっと刻まれていく。きっと、何年経ってもこの瞬間を思い出すだろう。そして、何度でも恋に落ちるんだ。

——君という奇跡に。

今日のお題は、「雪の町で、君と」

 
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