題名:今日のお題は、「貴婦人Dの甘美なる罠」
報告者:ダレナン
(No.2877の続き)
僕が彼女と出会ったのは、港町の片隅にある古びた酒場だった。壁には時代遅れのランプがともり、酒臭い男たちがカードを切る音が響いていた。その中で、ただ一人異質な存在があった。
貴婦人D。
彼女の存在は、そこにいるだけで周囲の空気を変えた。紫煙の向こうに浮かび上がるその肉感的な肢体、深紅のドレスに包まれた白い肌。グラスの縁をなぞる長い指は、男たちの理性をゆっくりと削り取っていく。 僕は一目で魅入られてしまった。
「あなた、なかなかいい目をしているわね」
彼女はそう言って微笑む。紅い唇がわずかに歪むだけで、僕の脳は甘い霧に覆われるようだった。
「D様……」
無意識にその名を口にすると、彼女は満足そうに喉を鳴らした。
「いい子ね。私をそう呼ぶなら、あなたに少しだけチャンスをあげるわ」
「チャンス?」
彼女は腰をくねらせ、僕の耳元にそっと囁く。
「私と寝たいのなら、もっといい声で呼ぶのよ」
その瞬間、僕の全身が灼けるように熱くなった。
「ああ、D様……わたくしはもはやあなたのとりこ……」
すると、彼女はゆっくりとドレスを脱ぎながら、一糸まとわぬ寸前でのあらわな姿となり、僕の頬を撫で、笑った。
「なかなかの者ね」
その声に酔いしれながら、僕は気づいた。
これは甘美なる罠なのだと。
だがもう遅い。僕の理性は、D様の手の中でゆっくりと溶かされていくのだった——。
今日のお題は、「貴婦人Dの甘美なる罠」