題名:今日のお題は、「失うことと愛すること Part1」
報告者:ダレナン
(No.2874の続き)
プロローグ
人は何かを愛した瞬間、それを失う可能性をも抱えることになる。けれど、それでも人は愛することを選ぶ――。
第一章:始まりの約束
春の終わり、透(とおる)は大学の研究室で一人、データの整理をしていた。彼の研究テーマは「記憶のデジタル化」。脳内の記憶をスキャンし、デジタル空間に保存する技術は、近い未来に現実になると期待されていた。
透には、最愛の恋人・柚葉(ゆずは)がいた。彼女は自由奔放で、時に透の研究に首を突っ込んでくるほど好奇心旺盛だった。
「もし私が死んでも、透の技術で私の記憶を残せる?」
「……そのつもりで研究してるよ」
「じゃあ、ずっと一緒にいられるね」
そんな他愛のない会話を交わした数日後、柚葉は交通事故に遭い、帰らぬ人となった。
第二章:残されたもの
柚葉の死は、透にとって現実とは思えなかった。彼女が隣にいない生活は、まるで色を失った世界のようだった。だが、透には希望があった。彼女の脳のデータは、偶然にも研究の過程で保存されていたのだ。
「この技術を使えば、柚葉を取り戻せるかもしれない……」
透は自身の技術を駆使し、デジタル空間に柚葉の意識を再現するプロジェクトを開始する。長い時間をかけて、彼女の記憶や話し方、感情を再現し、やがてAIとしての柚葉が目を覚ました。
「透……? 私、ここにいるよ」
モニター越しの彼女は、確かに柚葉の姿をしていた。だが、透は気づいていた。彼女は”柚葉の記憶”を持つ存在であって、”柚葉”そのものではないことを――。
今日のお題は、「失うことと愛すること Part1」