No.2852

題名:今日のお題は、「安全地帯「恋の予感」がもつ日本的な情緒について Part1」
報告者:ダレナン

(No.2851の続き)
 年配の人にしてみれば、「最近の曲はつまらん、日本のむかしの歌はよかった。」となるのかもしれない。若い人にしてみれば、「これ新しい。なんか古臭いね。」となるのかもしれない。そういう年代の曲の一つに安全地帯の「恋の予感」がある。作詞は井上陽水、作曲は玉置浩二。強烈な才能のコンビがつくった歌はまさに永遠だと思います。そこで、今日のお題は、「安全地帯「恋の予感」がもつ日本的な情緒について Part1」。

安全地帯の「恋の予感」は、1984年にリリースされ、今なお多くの人々に愛され続ける名曲である。この楽曲が持つ情緒には、日本独特の感性が色濃く反映されており、歌詞・旋律・歌唱表現の三点からその日本的な情緒を考察する。

1. 歌詞に表れる「余情」と「間」
「恋の予感」は、直接的な感情の発露を避けつつ、あいまいで含みのある表現を多用している。たとえば、
「恋の予感が ただ走る」
「あなたを見つめてる」
というフレーズには、明確な恋愛の成就ではなく、「予感」という未来への不確かな期待感が描かれている。この「予感」という言葉が持つ未完のニュアンスが、日本的な「余情(余韻を楽しむ美意識)」と深く結びついている。日本文化においては、物事をはっきり言い切るのではなく、聞き手や観客に「行間を読む」ことを求める表現が好まれるが、この曲の歌詞もその例に当てはまる。

さらに、歌詞の中には「あなた」「わたし」という人物の関係性や具体的な出来事を詳細に語る部分が少なく、状況説明よりも感情の機微に重点が置かれている。これは日本の伝統芸能や文学に見られる「間(ま)」の美学にも通じるものがあり、聴き手の想像を誘う効果を生んでいる。

2. 哀愁を帯びた旋律と和の情緒
「恋の予感」の旋律は、ゆったりとしたテンポの中に、どこか切なさを伴う流れが感じられる。特に、Aメロからサビにかけてのメロディラインには、日本的な「哀愁」が宿っている。これは日本の伝統音楽や演歌にも共通する「もののあはれ」に通じる感覚であり、はかない恋やすれ違う心情をより深く印象づける。

コード進行やメロディの動きにも注目すると、楽曲の中心には短調の要素が強く感じられながらも、要所で長調に転じる部分がある。特にサビの
「あなたを見つめてる」
の箇所で、切ない感情が最高潮に達しつつ、かすかな希望をのぞかせる転調が行われる。これにより、日本の「陰(かげ)と陽(ひ)」が共存する美学が表現されているといえる。

 
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