No.2840

題名:今日のお題は、「とろける恋、とろけるチーズ」
報告者:ダレナン

(No.2839の続き)
 僕が初めて彼女と出会ったのは、仕事帰りのカフェだった。ふと目をやると、カウンター席でハンバーガーを頬張る女性がいた。チーズがとろけて、今にもこぼれそうになっているのを、彼女は楽しそうに食べていた。
 「すみません、それ、美味しそうですね。」
 つい声をかけてしまった。
 彼女は驚いた顔をして、少し口元を拭ってから、ニコッと笑った。
 「すっごく美味しいですよ。チーズがとろけるのが最高なんです。」
 その笑顔が、なんだか僕の心を温めた。
 それが始まりだった。彼女の名前は彩花。僕たちはすぐに打ち解け、初デートはチーズハンバーグが美味しいと評判のレストランへ行った。
 「ねえ、見て!チーズがすごい!」
 目を輝かせながら、ナイフでハンバーグを切ると、中からとろりとチーズがあふれ出た。
 「うん、最高だね。」
 僕は彼女の楽しそうな顔を見ながら、同じものを頬張った。
 彼女と一緒にいると、不思議と心がとろけるように温かくなった。彼女の笑顔は、僕にとっての“とろけるチーズ”だった。

 それから月日が流れ、いろんなことがあった。時にはすれ違ったり、喧嘩もしたけれど、彼女の笑顔があれば、またすぐに仲直りできた。
 でも、ある日、彼女は遠くへ行ってしまった。仕事の都合で、しばらく会えなくなったのだ。
 「寂しいけど、大丈夫だよ。また絶対会おうね。」
 そう言って、最後に食べたのも、とろけるチーズのハンバーガーだった。
 それから数年。
 ふと立ち寄ったカフェで、とろけるチーズのハンバーガーを食べながら、彼女のことを思い出していた。
 「それ、美味しそうですね。」
 懐かしい言葉が聞こえた。
 振り向くと、そこには変わらぬ笑顔の彼女が立っていた。
 「すっごく美味しいよ。チーズがとろけるのが最高なんだ。」
 僕は思わず笑った。
 やっぱり、彼女の笑顔は、僕の心をとろけさせる魔法のようだった。

今日のお題は、「とろける恋、とろけるチーズ」

 
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