No.2800

題名:今日のお題は、「ストロベリーチョコレートな恋」
報告者:ダレナン

(No.2799の続き)
ストロベリーチョコレートのようにとろける恋の経験は、人生ではそれほど多くない。

あの頃、僕たちは十九歳だった。幼さを残しながらも、大人になろうともがくような、そんな時期。君と出会い、僕たちの間には甘くて優しい時間が流れていた。ストロベリーチョコレートを分け合いながら、ラベンダーの花が咲く公園で語り合った夢や未来。指先にとける甘さと、君の笑顔が僕の世界のすべてだった。それが永遠に続くと思っていた。

けれども、どんなに甘いチョコレートも、時が経てば形を変えてしまう。僕たちの関係も同じだった。気がつけば、お互いの心の隙間が少しずつ広がっていき、気づけばすれ違いばかりが増えていた。何気ない一言が鋭く胸を刺し、沈黙が増えていった。最初は気にしないふりをしていたけれど、やがて僕たちは流れ出したチョコレートのように、元の形をとどめることができなくなっていた。

別れの時、君は何かを言おうとしていた。でも、僕はそれを聞くのが怖かった。だから、ただ静かにうなずくだけで、何も言えなかった。君が最後に見せたあの微笑みは、どこか寂しげで、胸の奥に深く残った。もしあの時、僕が勇気を出して何かを言えていたら、何かが変わっていたのだろうか。

今でも時々、ストロベリーチョコレートを口にすると、君と過ごした日々を思い出す。甘さとともに、ほんの少しのほろ苦さが広がる。あれから僕の記憶も少しずつ変わってしまったかもしれない。でも、君と過ごした日々がかけがえのないものであったことは変わらない。

君は今でも元気でいるだろうか?

どこかでまた、ストロベリーチョコレートを食べながら、同じようなことを思い出しているのかもしれないね。

今日のお題は、「ストロベリーチョコレートな恋」

 
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