No.2790

題名:今日のお題は、「野心と恋の狭間でPart1」
報告者:ダレナン

(No.2789の続き)
僕は自分でいうのもなんだが、仕事はできるほうだ。努力を惜しまず、結果を出し続けてきた。その甲斐あって、社内で何度も表彰され、昇進も早かった。周囲からの評価も高く、上層部の人間からも一目置かれる存在となっていた。

そんな僕に目をつけたのが、会社のトップである社長・一ノ瀬圭吾だった。

ある日、社長から声をかけられた。

「達也くん、一度うちに遊びに来ないか?」

これはただの食事の誘いではない。社長が僕を特別視している証拠だ。もしかすると、後継者候補としての資質を試されるのかもしれない。絶好のチャンスだと思いながら、僕は社長の豪邸へと足を踏み入れた。

そこで、彼女と出会った。

社長令嬢――一ノ瀬美月。

ウェーブのかかった茶髪が光を反射し、気品のある顔立ちと静かな佇まいが、まるで陶器のように美しかった。端正な顔立ちをしているが、どこか温かさと同時に冷たさを感じさせる表情。彼女はただの甘やかされたお嬢様ではない。瞳には強い意志が宿り、こちらの本性を見透かすような鋭さを秘めていた。

その瞬間、僕の中で何かが弾けた。

――この女を手に入れれば、俺は勝ち組になれる。

美月をものにすれば、社長の娘婿となり、会社の未来を掌握できる。社長の信頼を得ることも、会社を継ぐことも、決して夢物語ではなくなるだろう。僕は、恋と野心の両方を満たす手段を見つけたのだ。

そして、僕は変わった。

今日のお題は、「野心と恋の狭間でPart1」

 
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