No.2785

題名:今日のお題は、「あたしがここにいる理由」
報告者:ダレナン

(No.2784の続き)
「どうせ夢だよ。なれるわけないじゃん。」

ずっとそう思っていた。男女関係なく大人たちが口を握る。「君は歌がとくに上手なわけでもない」「ビジュアルが大切な世界で、どこにでもいるような女の子がアイドルになれるわけがない」。

でも、心のどこかで思っていた。「でもあたしは好き」だと。

小さい頃から歌うことも踊ることも大好きだった。テレビの向こうで笑うアイドルたちを見て、あたしもあそこに立ちたいと願った。その気持ちは成長する中で薄れることはあったけど、終わることはなかった。

中学校ではダンス部に入り、高校ではカラオケに出る勇気も出た。絶対に受からないと思ったオーディションで、運よく最終選考まで進むことができた。けど結局、最後には落ちた。「何が足りなかったんだろう」と不安になって、もう一度人に聞いた。

「君には人に伝えることのできる『意思』が少し足りなかったんじゃないか。」

歌もダンスも練習した。けど、どうしてそれをしたいのか。自分が何を伝えたいのか。それがないから、どんなに手を振り、声を大きくしても、気持ちが伝わってこない。

気付いてからは、あたしの歩き方が変わった。あたしは、自分の声で、歌で、この気持ちを伝えたいんだ。何度落ちたっていい。次のオーディションまで、また練習しよう。

夢を追いかける理由。「あたしがここにいる理由」は、まだここで終わるはずがない。

今日のお題は、「あたしがここにいる理由」

 
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