No.2772

題名:今日のお題は、「禁じられたロマンス」
報告者:ダレナン

(No.2771の続き)
 彼女とこうして二人きりの時間を過ごしていることが、今でも信じられない。社内でも一番の美人と評判の彼女が、まさか自分を選んでくれるなんて、そんなことが現実に起こるとは思ってもみなかった。

 「何考えてるの?」

 彼女が微笑みながら聞いてくる。その笑顔に、胸が締め付けられるような感覚を覚える。

 「いや、夢みたいだなって思って」

 「夢?」

 「うん。まさか君とこんな関係になれるなんて……まだ信じられなくて」

 彼女はクスッと笑い、衣服を脱ぎ始める。「私だって同じよ」

 その言葉に安心しながらも、心の奥底に小さな不安が芽生える。この幸せが、永遠に続くとは限らない。どんなに熱い炎も、やがては消えてしまうものだ。もしも、今のこの気持ちがいつか冷めてしまったら? 彼女も同じように、自分に対する思いを失ってしまう日が来るのだろうか?

 「ねえ」

 彼女の声が、不安に沈む思考を遮る。

 「今を楽しもうよ」

 そう言って彼女はそっと手を握る。その温もりが、すべての疑念をかき消すような気がした。

 たとえこの関係がいつか終わるとしても、今は彼女がここにいる。夢なら、どうか覚めないでほしい。そう願いながら、彼の指はそっと彼女の手を握り返した。

今日のお題は、「禁じられたロマンス」

 
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