No.2750

題名:今日のお題は、「プールの君と、僕のいたたまれない何か」
報告者:ダレナン

(No.2749の続き)
 前回の切なさに続いて今日のお題は、「プールの君と、僕のいたたまれない何か」(笑)。

 君は水の中で自由だった。青く透き通る水面を割って、しなやかに腕を伸ばす。無駄のないフォームで、まるで水と一体になったみたいに。

 僕はプールサイドのベンチに座り、静かに君を見つめる。心がざわつく。息が詰まる。言葉にできない何かが、胸の奥でじくじくとうずいていた。

 憧れ?いや、違う。君のように泳げたらいいのに、なんて単純なものじゃない。嫉妬?それも違う。僕は君に勝ちたいわけじゃない。ただ、見ているといたたまれなくなるのだ。

 君は僕の前でだけ笑う。
 君は僕にだけ「見ててね」と言う。
 それなのに、君は僕のものじゃない。

 ――君が好きだ。

 それがわかった瞬間、胸のざわつきの正体もわかった。僕の「恋心」は、いたたまれなくなる。君の笑顔がまぶしすぎて、僕の中にあるこの気持ちをどこに置けばいいのかわからなくなる。

 だから、今日も僕は黙って君を見つめる。
 プールで泳ぐ君を。
 僕の心をかき乱す、君を。

 
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