No.2729

題名:今日のお題は、「ミステリアスな未亡人 第五部」
報告者:ダレナン

(No.2728の続き)
第五部

彼女に導かれるまま、僕は奥の部屋へと足を踏み入れた。そこには大きな暖炉があり、静かに火が揺れていた。壁際には古びたソファと書棚が並び、部屋全体にかすかな香木の香りが漂っている。

「ここが私の書斎です。」

彼女はそう言いながら、窓際の椅子に腰掛けた。窓の外には、薄暗い森が広がっていた。

「あなたに聞いてほしいことがあります。」

彼女の声には、どこか切実な響きがあった。僕は無言のまま頷いた。

「私は……この屋敷に囚われているのです。」

その言葉を聞いた瞬間、背筋に冷たいものが走った。

「どういう意味ですか?」

彼女はしばらく黙った後、小さく息を吐いた。

「この屋敷には秘密があります。ある夜を境に、私はここから出られなくなったのです。」

彼女の瞳には、言葉では説明できないほどの哀しみが宿っていた。屋敷の奥から再び低いうなり声が響く。

「あなたなら、私をここから解放できるかもしれません。」

彼女の言葉と共に、屋敷の空気がわずかに揺らいだように感じた。

第六部へ続く

今日のお題は、「ミステリアスな未亡人 第五部」

 
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