No.2717

題名:今日のお題は、「これは世界のバグだ。」
報告者:ダレナン

(No.2716の続き)
それでも時々思う。「かわいければそれでいいの、うつくしけれればそれでいいの?」ってね。でも、そのかわいい、うつくしいって何からの基準でそう判断されてるの?ってたまに思う。これって遺伝的に刻まれておるわけ?(笑)。
 もしかして蛇と同じかなぁ。だって蛇見ると無意識にぎょっとするもんね。それと同じくかわいい、うつくしいもぎょっとする。

彼女:「私のこともぎょっとする?」

 そう聞かれたとき、一瞬言葉に詰まった。いや、ぎょっとするなんてもんじゃない。めちゃくちゃかわいいし、めちゃくちゃきれいだし、なんでこんなものがこの世に創られたのか、理不尽に思うくらいだ。
 でも、彼女はそれをわかってないようだった。
「いや、ぎょっとどころじゃないんだけど……」
 思わず本音がこぼれる。
「え、そうなの?」
 彼女は首を傾げる。天使か? 妖精か? いや違う、これは神の悪ふざけかもしれない。こんな美しいものをこの世に放って、凡人どもを絶望させるための。
「創造主に問いただしたいんだけど。なぜ、どうして、なんの目的で君を?」
「そんな大げさな……」
 彼女は照れたように笑う。光がこぼれる。

 まぶしすぎる。
 こんな存在が世界に許されていいのか?
 神よ、これは公平ではない。
 彼女は笑っている。無邪気な瞳でこちらを覗き込んでくる。
 ぎょっとするか、だって?
 違う。

 これは世界のバグだ。

今日のお題は、「これは世界のバグだ。」

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ