No.2700

題名:今日のお題は、「運命に導かれるかのように」
報告者:ダレナン

(No.2699の続き)
 それほど親しくもなかった友人から届いた結婚式の招待状を見たとき、正直なところ、僕は気乗りしなかった。わざわざ時間を割いて行くほどの関係ではないし、知り合いも少ない。けれど、なんとなく断るのも気が引けて、半ば義務感で式場へ足を運んだ。
 華やかな会場に足を踏み入れた瞬間、その場の雰囲気に少しだけ気分が晴れた。そんな中、ふと目を引かれたのが君だった。ピンクのドレスに包まれたその姿は、まるで光をまとっているかのようで、何気なく視線を送るだけで心が揺れた。まさか、この一瞬が僕の人生を変えることになるなんて、その時は思いもしなかった。
 共通の知人を介して、僕たちは軽く挨拶を交わした。ぎこちないながらも微笑みを返しあい、何気ない会話が始まる。どこから来たのかと尋ねると、驚いたことに、僕たちは同じ郷里を持っていた。それをきっかけに会話は弾み、あっという間に時間が過ぎた。まるで昔から知っている相手のように、自然と打ち解けていた。
 「よかったら、またお話しませんか?」
 勇気を振り絞ってそう言うと、君は微笑みながらうなずいた。その小さな仕草が、僕の胸を熱くした。電話番号を交換し、何気なく別れたけれど、心の中には温かい余韻が残っていた。

 それから数日後、僕たちは再び会った。結婚式での偶然の出会いが、まるで運命に導かれるかのように、何度も僕たちを引き寄せた。話せば話すほど、知れば知るほど、君の存在が僕の中で大きくなっていくのがわかった。
 「不思議だね。こんな風に出会えるなんて。」
 君がぽつりと呟いた言葉に、僕は深くうなずいた。これは偶然なんかじゃなく、きっと何かの縁なのだと。
 やがて僕たちは恋に落ち、共に歩む未来を誓い合った。そして今、君は僕の妻になった。あの結婚式に足を運んだことが、人生最大の幸運だったと確信している。
 「君に出会えて、本当に幸せだよ。」
 今でも君にそう伝えるたびに、君は優しく微笑んでくれる。

これからもずっと、薫と共に生きていきたい。

今日のお題は、「運命に導かれるかのように」

 
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