No.2686

題名:今日のお題は、「Fading Memories」
報告者:ダレナン

(No.2685の続き)
色あせた記憶の中で、彼女の輪郭だけが鮮明に残っている。まるで古びた写真のように、色は褪せても形ははっきりとそこにある。

あの頃、僕は25歳で、彼女は23歳だった。お互いに若く、未来には無限の可能性があると思っていた。彼女は太陽のように輝いていた。笑顔も、仕草も、そしてベッドの上での吐息までもが、僕を夢中にさせた。彼女の白い肌は月光を浴びたように柔らかく、触れるたびに自分が生きていることを実感した。

しかし、時は残酷だった。月日は流れ、僕は年老いた。肌はしわが刻まれ、目の輝きは鈍くなった。彼女の記憶の中の僕は、まだ若くて力強いのだろうか?それとも、彼女の記憶の中からも僕は色あせてしまったのだろうか?

あの頃の彼女は、今もどこかで笑っているのだろうか。僕が知る彼女は、あの夏の午後に置き去りにされたまま、永遠に23歳のままだ。そして僕は、ただ老いていく。

若さと引き換えに、僕は何を得たのだろう。人生の重みか、それともただの孤独か。答えはわからない。ただ、記憶の中の彼女だけが、今でも僕の心の中で色褪せずに微笑んでいる。

今日のお題は、「Fading Memories」

 
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