No.2667

題名:今日のお題は、「季節の境目に」
報告者:ダレナン

(No.2666の続き)
 夏が終わり、秋の気配がゆっくりと忍び寄るころ。空はどこまでも澄んでいて、風にはほんの少しだけ冷たさが混じっていた。
 僕たちはふと思い立ち、海へ向かった。夏の喧騒が過ぎ去った砂浜には、僕たち以外ほとんど人影がない。遠くでかもめが鳴き、穏やかな波が静かに岸を撫でていた。
 彼女は白いワンピースの裾をそっと手で押さえながら、ゆっくりと砂浜に腰を下ろした。裸足の足先を砂に埋め、指先でさらさらと掻くように遊んでいる。僕は彼女の隣に座り、同じように足を伸ばした。
 彼女の視線は、どこか遠くへ向けられていた。
 「何見てるの?」
 そう尋ねると、彼女は少し間をおいて、「ううん。別に」と答えた。
 それきり、僕たちは何も話さず、ただ波の音を聞いていた。時間がゆっくりと流れていくのが分かる。風が頬を撫で、彼女の長い髪をふわりと揺らす。その横顔はどこか儚く、そして美しかった。
 何を考えていたのか、今となっては分からない。でも、あのときの静けさ、心地よい潮風、そしてお互いに言葉を交わさずとも満たされていた時間は、何にも代えがたいものだった。
 思い返すたび、胸の奥が少し温かくなる。
 あれはきっと、僕たちだけの特別な時間だったのだろう。

今日のお題は、「季節の境目に」。副題:そして僕はまたもや安易にAIにたよってしまう(笑)。

 
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