題名:ヒトにおけるメス・オスの性的二形の起源
報告者:ナンカイン
本報告書は、基本的にNo.262の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
ヒトは、基本的に動物であり、メスとオスの性的に二つの形に区別されている。そのような性別によって個体の形質が異なる現象を、生物学的には性的二形と呼ぶ。あるいは、雌と雄が別々の個体で区別されている観点から、雌雄異体(しゆういたい)とも呼ぶ。全ての哺乳類は性的二形で雌雄異体であり、そこには、そうなる理由の何かしらの起源があると推測される。
先のNo.262で、ヒトの性別の異なる個体間における性行為(交尾)を秘めごととする謎について類推した。しかしながら、性行為(交尾)の基となる性別二形で雌雄異体には、実は生物の進化上で大きな利得が存在することが分かっている。それは、雌雄異体では自家受精ができない一方で、素早い繁殖は犠牲になったとしても、多様性確保の点で有利となる点があり、雌雄異体の反対である雌雄同体は、自家受精が可能であり、素早い繁殖には有利となるも、多様性確保の点では不利になる点である1)。このことから、実際は地球上の多くの動物は、ほとんどが雌雄異体であることも踏まえると、自家受精よりも、多様性の進化が、動物の進化を促したことが明らかである。ヒトもその進化の流れに準じている。
ここで、地球の代表的なヒトの様相として宇宙(宇宙人)に示すべく、宇宙探査機のPioneer 11に搭載された地球人類の代表たるヒトの様相を図に示す。これでもっても明らかであるが、地球のヒトは、性的二形で、雌雄異体であることを宇宙にも伝えている。すなわち、これが地球のヒトという動物の代表の形と言えよう。
ヒトを含む哺乳類が性的二形を発現するのは、脳の性分化の臨界期である胎生期となるが3)、近年はエピジェネティック(生物学的、あるいは、環境的刺激により遺伝子の転写を制御する機構)な変化が、性分化の発現を調節していることが発見されている4)。すなわち、性を分化するきっかけは、遺伝子的に決められているのではなく、何
図 Pioneer 11に搭載された金属板2)
らかの刺激により偶然に定められた結果とも言える。さらに、このエピジェネティック変化について、後天的に生活習慣、または、生活環境を変えるだけでも、変化が現れる5)。このことから、性別や性行為(交尾)に神格化をもたらし、様々な文化を生み出したヒトではあるが、根底には何も考えていない神(母なる地球)の姿が目に浮かぶ。我々は、きっと、この地球で、たまたま生まれ、たまたま変化しただけの存在である。
1) http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1094995870 (閲覧2016.5.23)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/パイオニア11号 (閲覧2016.5.23)
3) http://leo.aichi-u.ac.jp/~kunugi/seisa/j/1997-12-16.htm (閲覧2016.5.23)
4) 松田賢一, 他: 脳の性分化とエピジェネティック機構. 京府医大誌 119: 779-787. 2010.
5) http://wired.jp/2013/11/28/epigenetics/ (閲覧2016.5.23)