題名:動画を見る。
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.2157の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
しかし、金の亡者となって死ぬまで仕事上のサバイバルをやり過ごし、金は在っても仕事に抹殺されるのか、それとも楽園でぬるま湯に浸かり、でも、将来金銭的に困窮するであろう未来において、今は楽園のままでいいのか。いつもそんなことで頭が悩まされる。でも、答えはいつも分かっている。
死んでしまえば、すべてがおしまいだ。
ただ、これを言い換えるとこうなる。
すべてをおしまいにするには、死んでしまえばいい。
かつての仕事で、僕はそう感じたことがあった。
そして、今は、エド・スタフォードから古の教えを痛感した。
「エドと決定的に違うのは、そこには死はあっても、生はなかった。エドは間違いなく生き抜くことに、性を放出している。エドの笑顔はそのすべて語っていた」
僕は、なんとなくエドの動画を見る。それは僕のある意味、理念でもあった。あるいは、僕自身の昔からの思想に基づくものでもあった。
「誰もしらない。誰もいない。でも、その世界で生き抜くことができることこそが、本当の勇者だ。過去のしがらみがない世界で、自らの力でもって積み上げ、それを成し遂げる。それが真のサバイバルなんだ。サバイバルの本質なんだ。それは仕事というジャンルでも、実はまったく変わりがない」ということを。
エド、ありがとう。エド:「イーヒッヒヒヒヒヒ」
そして僕はもう一度寝室を覗いた。ちなみも舞衣子もすやすやと寝ていた。その姿をみた後、リビングのソファーに座り直すと僕も急に眠気が襲った。昨日は、夜遅くまで「ブルーラグーン~恋の目覚め~」を見ていたせいかもしれない。朝も駅のベンチでそれの続きを見ていた。眠くて当然だった。次第に瞼が閉じる。
入江の遠くに、島のような木々の生えた陸地がそこら中に点在している。水辺は緩やかに波を描き、陸の木々の模様を反転させている。莉紗がその水辺で浸していた足を陸地へと移す。