No.2156

題名:3つの青いサンゴ礁
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.2155の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 家に戻り、病院にちなみを連れて行くと、ただの風邪のようだった。少なくとも新型コロナウイルス感染ではなかった。僕と舞衣子は胸をなでおろし、そのまま帰宅した。
 このことで、今日仕事を休んだことは正解だった気がした。僕は時折、タイミングよくこんなことが起きる。自分の休みのためだったものの、家族のために休んだと考えられると気が落ち着いた。僕には家族が居る。仕事がどうであれ、家族が居ることは僕の心の支えとなっていることにこの時、納得した。

舞衣子:「LINEのメッセージから、随分と帰ってくるの早かったけど、仕事の方は大丈夫だった?」

平十郎:「気にしなくていいよ…。時間給で早退にしたんだ」

舞衣子:「うん、分かった。でも、ちなみがただの風邪でよかった…」

 舞衣子は幾分安心したようなそれでいて困っているような表情をした。その時、またも僕の□□がいささか膨らんでいた。たぶんそれが僕の好きな舞衣子の表情だろうと、今は冷静に判断できた。

 落ち着いてから僕は再び「ブルーラグーン~恋の目覚め~」を見た。2人が救出されたのが2か月であったことが明らかとなった。日数にして約60日。

 エドとおんなじだ。
 エド・スタフォード。元イギリス陸軍大尉のエド・スタフォード。無人島で60日間を過ごし、過酷な冒険の旅を終えたエド・スタフォード。

 エドはこのチャレンジで随分と体重が減った。さらに途中に生もので当たったようで、1度だけQQを呼んだ。髭も随分とたくましくなった。
 「ブルーラグーン~恋の目覚め~」と随分と違う。彼らは見た目は変化せず、綺麗なままだ。60日間同じ服だろう? そうじゃないのか。それに水と食料、どうやって60日間確保できたんだい? それに、2人が居なくなっても、周りは随分とあっさりしている。死んだと思っていたら、そんなあっさりはいかないだろう、普通? どうなんだ。彼も不良にはとても見えない。黒ヒョウ、どこにそんな動物潜んでいたんだ。しかも、こちらもあっさりと彼にやられる。そんなわきゃーねーだろ。
 それでも楽しめた。なぜなら、こういう設定はとても大好きだからだ。無人島、男女2人きり、ロマンス、体験。3つの青いサンゴ礁を通して、僕は舞衣子との島旅行に思いをはせた。

 だが、実際は、無人島でのサバイバルは、決して楽園ではない。エドがそれを証明している。

 
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