題名:すべてを捧げる
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.2142の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
なんだか安心した。地面の上で寝ている夏目と小型木造船の中に居る沙耶とを交互に見返した。僕たちは結びついている。リリアーナ・カヴァーニを通して。愛の嵐を通して。そうなんだ。そうだったんだ。
沙耶の胸に抱かれながら、僕は○○した影響もあってか、ここに来て急速に眠気が襲ってきた。
平十郎:「なんだか眠くなってきたね」
沙耶:「うん、実は、私も…」
お互い顔を見合わせながらもう一度キスをした。彼女の唇は暖かく、潮の香りした。その瞬間、僕には沙耶が海の女神に見えた。彼女の温かさが口から染みる。僕はそっと沙耶の頬を撫でた。彼女は微笑み、そしてそのまなざしを見たのを最後に、僕は眠りに落ちた。
俺は夢の中で女王を見た。
球戯場のエル・デュマルの壇上でアル・カベル女王は微笑んでいた。彼女は俺に対して熱いまなざしを向けている。
群衆が俺らの周りを囲み、女王の合図でついに球戯が始まった。
対戦相手はライバルのカマル・デュ・ソンヌース。相手にとって不足はない。この球戯で勝者になれば、俺は女王のいけにえとして太陽の神に近づくことが約束される。
生まれ変わる神の循環の中に俺が組み込まれ、未来永劫で再び女王に出逢えることが約束される。
「太陽の神キニチ・アハウよ。俺に力を与えたまへ」
壁に設置してある輪に球を入れれば、球戯は終了になる。そして、俺は勝者として永遠のいけにえになることが出来るのだ。
肩、胸、腰を巧妙に操り、目の前にカマルの輪が見えた。
今がチャンスだ。
胸を張り、球を輪にめがけて放り込んだ。その時、頭の中が真っ白になった。しばらく呆然としていると群数からターミヤ、ターミヤとの叫び声が聞えたことで、俺の意識がはっきりした。
俺は勝った。ライバルだったカマルについに勝利したのだ。
俺は女王に僕のすべてを捧げることが出来る。
異様なまでの興奮を覚えた。□□がとてつもなくエレクトとしている。心臓の鼓動もまるで胸から飛び出るかの勢いで激しくタイコしている。ドコドン、ドコドン…。