題名:「よろしくお願いします」
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.2116の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
その後、何回かの診断の都度に花見医師は僕に「私も…治したいものだ」と告げていた。それは何を意味しているかはわからなかったが、僕には花見医師は何かを抱えていたように感じていた。
それから1、2か月ぐらいだったろうか。花見医師は岩倉精神病院の病院長を退任したことを聞いた。そして北医師が病院長に就任し、僕の主治医も北医師に変わった。
「最近、調子はいかがですか?」
「すこぶるいいです」
「花見医師から八度様の病状経過について伺っていますけれども、今現在、相棒のプラひものことはどう思っていますか?」
「プラひも?」
「そうです。以前、八度様が、プラひものことを相棒とおっしゃていたことです」
「もう、まったく覚えがありません」
「そうですか…」
「この前の検査した結果ですが、この調子ですとそろそろ退院を考えてもよいかと私どもはそう考えています。一度、奥様と面会してこのことを話し合いしてはどうかと考えているのですが、八度さんのお考えはいかがでしょうか?」
「ぜひ、お願いします。僕は以前の事もはっきりと思い出して、たぶんですが、僕自身は以前と変わりない状態にまで変わったと思います」
「分かりました。では、一度、退院のことも含めて奥様に連絡してみます。面会の詳しい日程が決まりましたら、またお伝えします」
「よろしくお願いします」