題名:僕の立ち位置には、
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的に No.2052の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
りどるが宇宙人だったとは。じゃぁ今までの出来事はすべてアブダクションだったのか?
(アブダクションだったの?)
(ちがうにゃん。げんじつに、そこにえヴぁんちゃんがいるにゃん)
エヴァンジェリンは自分の荷物を見つけて、ベルトコンベアからまさに下ろそうとしているところだった。僕は慌ててそれを手伝った。
(じゃあ、いまからちみをそうさするにゃん)そう言ってりどるが視界から消えた。
エヴァンジェリン;「あれっ、りどるは…」
僕:「視界から消えたにゃん」
エヴァンジェリン:「にゃん…?」
僕:「間違えた。ところで、えヴぁんちゃん。どこに向かうか決まってるにゃんか?」
エヴァンジェリン:「う~ん、そうね….、んんん…、えヴぁんちゃん…にゃんか?」
僕:「間違えた。エヴァンジェリン。ここはどうにゃん?」
僕はエヴァンジェリンにスマホの画面で行く先を見せた。彼女は荷物を整理していたので少し画面をみるのが遅れた。すると、スクリーンタイムアウトとなり、再びホーム画面を立ち上げ、行く先を見せようとした。ただ、そこのホーム画面に映っているのはりどるの画像(図a)ではなく、黒いメガネをかけたかなり画像補正の入った僕の顔だった(図b)。
図1)2)
最近のスマホは便利だ。「スマホよスマホ。この世で最もかっこいいのは誰?」と問うと、「それはあなたです。この画像(図b)の通りです」と即答してくれる。なんて、すてきな僕だ、なんて、ええー僕だ、なんて、A僕なんだ、なんて、AIなんだ。強引すぎるAIへの語彙力。これぞ御威力ある宿命的運命論に翻弄…宿命的運命論って?
と思ったのもつかの間、エヴァンジェリンがどれどれとスマホを見た時には、黒いメガネの元の画像(図a)に戻っていた。単なるりどるのいたずらなのか。
その時、どれどれとスマホを覗いているエヴァンジェリンの顔が見えた。目の前にエヴァンジェリンの顔が見える…エヴァンジェリンがスマホを覗いてる…? その時、僕は傍と気がついた。僕がスマホ内に閉じ込められている。そうして、さっきの僕の立ち位置には、りどるがにやりと微笑んでいた。
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