No.1846

題名:チーズの包装、パッケージ
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1845の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

老朽化が進んでいてね…、建物も全体的に古いの。住んでいる人も第1世代の年配Moon人ばかりなので、第3ドームの雰囲気とかなり違うかもしれない。パーッと明るいというよりも、ドーム全体が暗いのよ。そろそろリフォームの話も出ているのだけど、魂の戦士、つまり私たち祖父、祖母の聖地で、フランコ・ハバド氏の遺言、聖なる実現の保証もあって、取り壊しについてはMoon Town議会でもなかなか賛同が得られていないの。このままリフォームが進まなければ、いずれ封鎖されるかも。実は、そんな状況なの。もう建てられてから200年近く経っているからね…。こぶちゃんブランドの生誕の地でもあるけど…」

僕:「こぶちゃんブランド生誕…」

キーコ:「そっ、こぶちゃんブランド」

 その時、テーブルの上が開き、Moon Townビアーと思しき、飲み物がシュワ―と泡立って出てきた。

ツキオ:「ノブヨシくん。Moon Townビアーが届いたで。じゃ、乾杯するか」

 僕たちは乾杯した。なんかつまみもあるといいな、と思っていると、

キーコ:「そうだ、ツキオ。こぶちゃんブランドのチーズも頼んだらどう?」

ツキオ:「いいねー、キーコちゃん。愛しているで、いっつも」

キーコ:「ありがと…。私もツキオのこと、大好きよ。オッケー、ラクダ・マ。こぶちゃんブランドのチーズもお願いできるかしら」

キーコさんはハイパーループ・カプセルの天井に向けて言い放った。

「かしこまりました」

 しばらくすると、今度はテーブルの上にチーズが出てきた。チーズの包装、パッケージには、こぶちゃんのイラストがあった。こぶちゃん。宇宙服を着ている。月の砂漠を歩いている。そんなイラストだった。
 目を凝らしてそのパッケージをもう一度じっくり見た。

(この宇宙服は、僕が開発したこぶちゃんスペシャルじゃないだろうか…。きっと、そうだ)

 
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