題名:秘密の袋とじ
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.1790の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
「金と欲望」の動画を見ている最中も、カサカサ、カサカサと音が聞こえ、ゴキが走行していた。その敏捷な、素早く動くさまは、まるでペルニクスのようだった。言わば、ペルニクス走行。それは、ラテン語で「敏捷な」「素早く動く」を意味するpernixから名づけられている1)。そのうち、その一匹がMoon人の足の先から宇宙服の中に入っていった。かと思うと、しばらくするとそこから出て行った。でも、そのMoon人は表情ひとつ変えずに、動画を食い入るように見つめていた。たぶん、ゴキの行動に、気づいていない。たぶん、そうに違いない…。
動画が終わるか、終わらないかの時に、Moon人はこう言った。
Moon人:「実は、このオドロクスキー氏によるデューン計画は失敗に終わった。実現しなかった。やはり計画書に無理があったのかもしれん。ハバド氏の計画書に。オドロクスキー氏によれば、100ページ読んでも分からん、らしい」
僕:「ふ~ん」
「ただ、そこで貼られた付箋は、計画書の、どこに、何が、どんなイメージがあったのか、をうまくまとめることには成功した。そして、オドロクスキー氏がその計画を放棄したところに、実現化しようとする第二の刺客が現れた。彼の名は、デッカイ・ランチ氏」
僕:「へ~」
「オドロクスキー氏がカルトの高僧で天才肌の人とするならば、ランチ氏はカルトの帝王で、こちらも天才肌の人になるかもしれん。特に昼めしにかけては…」
僕:「ふむふむ」
「で、晴れて、屋外で昼めしを食べていると、ランチ氏はデューン計画を実現した最初の人物となったことが記録上示されている。でも、これまた失敗に終わる。そこで、デューン計画を完全に成功させるには、無理だと判断され、スペースZ社バージョン5もその計画を一端封印したのだ。そして、むやみに時間が過ぎていった。ただ、その中で、その時間の経過の中でデューン計画として新たに発見されたものがあった」
「それが、計画書の秘密の袋とじだ」
僕:「秘密の袋とじ…」
「そう、みんな大好きな、あの秘密の袋とじだ」
1) https://ja.wikipedia.org/wiki/アエロピュルム・ペルニクス (閲覧2020.7.23)