題名:この宇宙空間に、永遠に、
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.1609の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
僕は今、琉花という宇宙空間を漂っている。その宇宙空間を漂っている最中に、僕はブラックホールを見つけた。まさに琉花にこころが吸い込まれる瞬間だ。その重力は、果てしなくヘビー。
Ground Control to Major Tom (こちら管制塔よりトム少佐へ)
Your circuit’s dead, there’s something wrong (回線に異常がみられます 何が起きているのですか)
Can you hear me, Major Tom? (応答ねがいます、トム少佐)1)
トム少佐はなにも答えてはくれない。でも、分かっている。僕の頭の中の回線が切れているのだ。琉花への恋心によって。
「カツオくん。そろそろ、コーヒーのみに行こうよ…」
「ごめん。ぼっーとしてた」
「それ、わたしのせい?」
「うん」
「えへへっ」
にっこりと笑う琉花。もはやアンパンマンのように、ブラックホールの重力に逆らって飛び続け地球に帰還できなくてもいい(No.1609)。僕は、この宇宙空間に、永遠に、漂えばいいのだ(図)。
2人はZX-10Rに乗り、コーヒー屋のHAKUSENに向かった。そこまでの道のりは、ずっと目の前の白線が続いているかのように、宇宙遊泳した。ZX-10Rの鼓動よりも、後ろに乗っている琉花の鼓動がはっきりと聞こえた。もう道に迷うことはない。
図 宇宙空間に漂う2)
「カツオくん。今日の午後はもう仕事はないの?」
「うん。今日は特にもうない。組合長の伯父にも、昼から琉花さんと…って伝えると、いってこい、いってこい、いってこ――い、こい、恋ごころーって茶化された」
「じゃぁ、わたしのアパートに遊びに来ない?」
「いいの?」
「うん」
1) https://ameblo.jp/kagegisu-the-writer/entry-12289445174.html (閲覧2020.2.5)
2) https://www.pinterest.jp/pin/296745062947088805/ (閲覧2020.2.5)