題名:何だか不思議な感じ
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.1576の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
「ここ、本当にハワイなの? なんだか、違う感じがするけど」
「ほらみて」と看板を指さした(図)。
「ハワイ海水浴場…。本当ダ…」
でも、そこの特集には「ハワイを探しに羽合へ行く」1)と書かれてあることは伏せておいた。コンブチャンは海流に流されてここまでたどり着いたみたい(No.1576)とのことだったから、今は混乱を与えてはいけない。そう、思えた。
図 ハワイ海水浴場1)
「でも、あなたがあたしを助けてくれたみたいね。感謝してるわ。あなたの名前は…」
「僕…。僕の名はイソベカツオ」
「カツオくん?」
「そう」
「だから、あたしの名前はコンブチャンとつけたのね。カツオとコンブ、いい感じ…、ダシとれるねー、ってなわけないだろー」
コンブチャンは若干、お怒りモード、情緒不安定みたいだった。なんせ、海の中を漂流していたみたいだから、自分の名前も思い出せないほど、記憶が混乱しているのかもしれない。そこで、そっと抱きしめた。
「ありがとう。やさしいのね」
「いえいえ、どういたまして」。抱きしめた時、何だか不思議な感じがした。彼女から磯の香りが漂うのだ。磯野かおりが漂うのだ。それも彼女が海の中を漂流していたから、というレベルではなかった。
1) https://dailyportalz.jp/kiji/150831194440 (閲覧2020.1.17)