題名:ガンコをグリグリしたい
報告者:トシ
ガンコは、頑固かもしれないが、頑固でないかもしれない。少なくとも融通が利かない人は、頑固者であると言われる。そのような頑固者であるが、融通が利かないことから、その人の頭の中も硬いことが予想される。そこで、ガンコの頭の中をのぞいてみたい。のぞいてグリグリしたいのは、頑固者に日々接している人にとっては、山々な願いかもしれない。頑固者の頭をグリグリすることで、その人の頭の中も少しは柔らかくなる、できるのかもしれない。切実な願いでもあろう。
ただし、ここでは、山々な願いであっても、海々な話へと発展する。そして、むろん、頑固者は、人の頑固者ではなく、深海に住むガンコである。いささかがっかりぎみな話への展開であっても、本当に人の頑固者をグリグリすると、間違いなく雷が落ちる。そこは、涙を飲むしかない。
ガンコは、文献1)に示されているように、カサゴ目ウラナイカジカ科ガンコ属の海水魚で、日本海側の島根県、太平洋側の福島や千葉の浅海~深海に生息する山陰の3大珍魚の一つである。体長は40cmほどで、体形は竜頭蛇尾のように頭が大きく尻尾に行くにつれ細くなり、上下に側扁しているのが特徴とされ、顔は大きくごつごつしており、「顔つきが怒ったオヤジに似ているためではないか? すなわち頑固親父の意?」2) からガンコ(頑固)と名付けられた。体表は茶色く、表面は粘々しており、鱗もない。味は、アンコウに似た味がし、アンコウ同様、鍋にすると皮や内臓、身などほぼ全身を食べることができる。
一方、コンピューターの発達とともに、近年の3Dの技術発展は、身近ながらも様々な3Dデータを提供してくれる時代へと変貌させてくれた。かつては、点と線でワイヤーフレームを組むのが、個人レベルでは精一杯であったことを考えると、ハードウェア的には恵まれた時代になったものである。そして、その3Dのデータの一つに、東京大学大気海洋研究所の3D-CTによる深海生物のデータ3)などがあげられようか。そこでは、多くの深海生物が3D-CTのデータ化されていることが確認できるが、今回は、深海魚のガンコ4)に目を付けた。さらに、この3D-CTのデータは、Molcer5)というソフトウェアによってグリグリできることが示されている。そこで、ガンコをグリグリしたい、しなければならない。まさに、切実な願いへと通じる。
すると、グリグリの過程で図のよう静止画も得られた。
図 ガンコ
その他にもかたち、レントゲンなど様々なガンコの姿を楽しむことができる。あの頑固者をグリグリしたいと思いつつも、こっちのガンコのグリグリも十分に楽しい。
1) https://www.kagiken.co.jp/new/kojimachi/fish-ganko_large.html (閲覧2019.3.5)
2) https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%B3 (閲覧2019.3.5)
3) http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/project/3D/index.html (閲覧2019.3.5)
4) http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/project/3D/ct_scan/data06_ganko.html (閲覧2019.3.5)
5) https://white-rabbit.jp/product/ (閲覧2019.3.5)