題名:純白のウェディングドレスに関する自然史
報告者:エコノ
生涯で着る衣装の中で、最も非日常的で、かつ、最も象徴的な衣装は何かと問えば、ウェディングドレスになるであろうか。近年では、数多くの色のウェディングドレスがあるが、その中でも、純白のウェディングドレスは、別格の存在感を有している。もちろん男性の性をもつ人がそのような白いウェディングドレスを着ると奇異にみえるかもしれないため、一般的にはそのドレスを着る主体の人は、女性の性をもつ人になろうが、近い将来、近未来では性を問わず着る衣装になるかもしれない。しかしながら、そこの話題は一旦棚に上げにして、ここでは、今から遡ること過去のウェディングドレスの自然史について、色を中心として、文献1)からの引用でもって探ってみたい。
結婚式における重要なテーマは、人生のある段階から次の段階へ、幼年期から成人期への象徴的な通過として存在している。それは、少女から結婚生活の実り豊かな成熟へと移行する女性として設けられ、その他の国の多くの文化でもみることができる。その背景的な意味は、若い女性を母性の新しい世界に投棄するという儀式でもあり、儀式的な悲しみと正式な嘆きを伴って、彼女(結婚する女性)の古い自己の一種の死として演じられている。そのため、花嫁が着る衣装は、これらのテーマを反映している。
歴史的な流れを見ると、西洋の花嫁でさえ白を着ていない。古代ローマでも花嫁の衣装は白ではなく、黄色の長いベールを着ていた。花嫁の衣装に特定の色で着る習慣がついたのは、中国においてであるが、そこでも白は存在せず、春には緑、夏には赤、秋には黄色、そして冬には黒という特定の色のみであった。日本において、現在の神道では白を着けるも、韓国における結婚式の礼服は、赤、緑、そして黄色がメインであった。
西洋文化における白いウェディングドレスの最も初期に記録された例は、1406年にスカンジナビアの王エリックの結婚式におけるイギリスのフィリップ王女になる。ただし、当時の白いドレスは、純粋さを象徴せず、むしろ高価で清潔に保つのが難しかったことから、それを着けられる着用者の身分と富を伝えていた。
そこから、次第に時代を経ると、写真撮影、そして、特に、結婚式の肖像画の台頭によって、白いウェディングドレスの流行が普及した。時々濁って見える白黒、または、セピア調の写真の中で、白いドレスは見栄えがよく、肖像画で際立っていたからである。そして、これをもって、花嫁の美しさを披露するのに適した純白のウェディングドレスが流行する背景が生まれた。
過去の歴史におけるウェディングドレスの様相は、文献2)に写真でもって示されているので、興味のある方はそちらを見ていただきたいが、明確に白として至るのは、やはり写真撮影や肖像画の影響が強かったことが分かる。
ただし、先に述べたように、結婚式の背景には重要なテーマが今でも存在する。そのため、そのテーマに内包される複雑さは、窓ごしから見る風景と
図 Dream wedding3)
同じく、心理的に白黒つけられない(つけにくい)夢かもしれない(図)。
1) https://daily.jstor.org/a-natural-history-of-the-wedding-dress/ (閲覧2019.2.4)
2) https://www.businessinsider.com/history-of-the-wedding-dress-2016-3 (閲覧2019.2.4)
3) https://lenvoleedeshirondelles.files.wordpress.com/2013/12/dream-wedding.jpg (閲覧2019.2.4)